千客万来のかたちもありますよ!人の願いは昔から変化しないもの

良いものであれば、黙っていても売れると考える殿様商売は蔑まれていたはずで、もはやそんなものを目にするとは思いもよりませんでした。大学のサークルが販売企画をしているのに立ち会ったときの経験です。

周囲の模擬店が販売する値段を調べて、この商品ならと決めようとします。自分たちの商品の品質など眼中にありません。客がどのように購入を決定してくれるかには一切気にならないようでした。結果は惨憺たるもので、客は教室内の展示に目をとめようともせず、前の廊下を素通りするばかりだったのです。

客を集めたいというのが彼ら学生の反省でもっとも光った文句だったと思います。客が集まらない、長蛇の列を作って混雑を極める横の教室で動き回る同級生たちをよっぽどうらやましく思ったのに違いありません。

魅力を外に向けて明らかにする必要があります。どれほど、顧客に対して必要な商品であっても、相手が知らなければ、購入行動に結びつくはずがありません。ましてや生活必需品ではない商品を購入する動機もないからです。顧客に魅力を知ってもらうのが大切なのです。

そんな問題ばかりの学生による販売に提示した予祝があります。集まる形、沢地萃(すい)です。単純にいえば、ものや人が集まる姿をしているからです。これでものが集まり人が集まるのを前提に企画できるけようになるはず。

上卦は陰−陽−陽で沢を意味する兌(だ)卦という名前です。一番上だけが陰になっていて後は陽なのは、喜びに溢れているからともいわれ、若い女性が笑っている姿をそこに見いだせます。あるいは外に向かって声を上げているようにも見えます。

対しての下卦は陰−陰−陰で地を意味する坤(こん)卦という名前です。すべて陰になっていて、不活性であれば力ない姿を意味しますが、活性しているならば、実りを結ぶために進んで従う母という働きを生じます。物事には裏腹な二重性が宿っていると分かるのではないかと思います。

全体では平らで耕された土地に流れる沢のイメージになります。陰を地として陽が2カ所だけという姿から、剛明の才徳ある協力者を得て、周囲が集まる様子とされてきました。ということは、このままでは集まるのは客ではなくて、従う人たちということになりそうです。

協力者、家族、同僚、部下が喜んで従っているのが条件です。販売する人の周囲の人たちが見向きもしない商品に集まる客はありえません。身内が高い評価をしているからこそ、その周りに顧客が引きつけられるというのが、この卦の思想なのです。

だからこそ、最初に協力者を集めたいのです。そのためにこの卦は潜在意識に働きかけます。集まったら、心を一つにまとめたいでしょう。この卦はそのための重要な点を指摘します。

この卦を読み解くと若い少女に周囲が付いていく様子にも見えますが、昔は看板娘、今はアイドルといった感じでしょうか。グループを象徴できるようなアイドル的存在はグループを活性化します。結果として地を良い意味で働かせます。

グループ経営と家庭運営は同じ構造だと気づかれたでしょうか。両親がグループの中心であって、子供たちが従う下卦になっているからです。そこに隠居が強いと天地否という交流のない形になってしまうのは面白いと思うのですが、いかがでしょうか?

周囲に知らせるという考え方がとても大切なのです。商品が手元に用意できたら、次は販売と考えるのは急ぎすぎでしょう。まず、周囲の協力者をしっかりとまとめ上げましょう。まだ販売活動ではありません。魅力を知らせる準備を怠らないことです。そうすれば自然と集客することになっていくはずなのです。後は焦らずじっくりと、ですね。