相手を尊敬する気持ちと支配しない関係とは、特に男女関係において重要です。この卦を見たとき、少し前に相談にやってきた青年のことを思い出しました。

その青年は結婚を約束していた女性に一方的に関係を破談にされてしまったといいます。最近そのような相談が数件舞い込みました。男女ともに若者は対人関係の維持に苦労しているようです。

そこでここでは八卦の中孚という形をご紹介しながら、人間関係を良好に保つための大切な原則をご紹介したいと思います。これを予祝として用いることで、そのような原則を弁えた関係構築の役に立つことでしょう。

中孚の形を見ると、上卦は陽−陽−陰です。風を意味する形で巽と呼ばれます。巽は一番下だけが陰になっており、その形は巽順とも言われるように、柔らかく従い入り込むような性質を備えています。

対する下卦は陰−陽−陽です。これは沢を意味する形で兌と呼ばれます。兌の形は一番上だけが陰ですが、上を向いて口を開けた様子にも理解されます。ここから笑う姿であって若い女性を当てはめて読み解きます。

上下を合わせて上が巽、下が兌と全体の形から真と信の卦だとされています。すぐに気がつくのは、上下が反転した形をしていて、開いた口が向かい合っているというバランスでしょう。とても美しい形姿をしているではありませんか。

お互いが向かい合って言葉を交わし、互いを喜び楽しむのが中孚なのです。目的志向の関係でも良いような気もしますが、それだけでは機能不全に陥ってしまうでしょう。同様なことは社会学の研究でも明らかにされており、目的志向のような社会的な関わりだけでは心情的な信頼関係が取り残されてしまいます。

特に日本のような心情を大切にする繊細な文化においては社会的な関わりだけで、密接な人間関係を維持するのには問題を生じてしまいます。結婚できたとしてもパートナーを役割で理解してしまう誤りを生じるのではないでしょうか。

中孚は中虚です。中心が陰になっていて、何も余計なものを隠し持たない状態を意味します。相手の判断を誤らせるような隠し事をして相手をコントロールしようとしてはもちろん関係を破綻させる破壊力を宿します。

また忠実。上下ともにそれぞれ中心が陽であって、信を保っています。それぞれが自分のあり方をしっかりと保持していなければ、信頼関係を保つことなどありえませんよね。男女の関係であれ、お互いが同じ思いをもっていなければ、誠がありません。

この卦の上卦が外に向かえば、問題を共有し、協力してこと当たれる関係が喜びを実らせます。そして卦の通りに内に向かえば、互いの関わりを大切にして、同じ資格を認め合って心を通わせます。

どのような相手であったとしても、大切な相手であれば信頼関係が本質です。だからこそ、どうすれば信頼関係を築けるのかを考えなければいけませんよね。信頼関係は相互関係だから、一方的な関係に真実は宿らないのはもちろんです。

それでも信頼関係が片方から始まるのは必然です。どちらかが積極的に働きかける必要があります。個人的にはその役割は男性にあるように思います。仕事では上司がその役割を担っている方が後々スムーズに進捗するようです。

どのように相手との信頼関係を形作り、継続させれば良いのか、1つの指針があるので、提示させて頂きます。それは相手の意思を修正しないといいう心がけです。相手は間違うこともありますし、理解不足の場合もありますが、いずれにせよ、修正しようとする行為は相手に劣位を強要します。

修正する代わりに、代案を提示して、相手の意思を忍耐するという態度を決めるのが、コツであるようです。ささやかですが。